「ラインの監視」お酒の話
今回は大人の芝居には欠かせないお酒の話です。

西洋の戯曲には必ずと言っていいほどお酒が出てきて、登場人物の気持ちを盛り立てたり鎮めたり、少なからず影響を与えます。

『ラインの監視』の舞台であるファレリー邸には色々なお酒が揃っています。

今回はその中のいくつかを紹介しましょう。


まずは「シャンペン」



「シャンパン」、「シャンパーニュ」とも。
日本では比較的「シャンパン」と呼ばれることが多い気がしますが、『ラインの監視』には「シャンペン」と言う名で登場します。

「シャンペン」はフランスのシャンパーニュ地方特産の発泡ワインです。
泡が非常に細かいことが特徴で、1919年にフランスで定められたAOC(アペラシオン•ドリジーヌ•コントロレ。原産地呼称統制法)により、シャンパーニュ地方で生産されたブドウを用い、決められた製法で作らなければ「シャンペン」という名称を使うことは出来ません。

ブドウの手積みから始まり、圧搾、一次発酵させ、ベースとなるワインを作り、それらを調合し瓶詰めまでに約5ヶ月、さらに瓶内二次発酵させ、そこから熟成に最低15ヶ月、高級ブランド物だと7年もの時間をかけて、最後にリキュールを添加し出荷されます。
これと同じ製法を用い、別の産地で同じ作られたものはフランス語で「クレマン」、それ以外の産地、製法で作られたものは「スパークリングワイン」と名称されます。

シャンパーニュ地方は要田さん演じるアニーズの故郷「バ=ラン」を用するフランス最北東のアルザス地域圏
とロレーヌ地域圏を挟んで西側にある北東部の地方です。

シャンパン

次は「シェリー」



「シェリー」はスペイン南部アンダルシア地方産の強化白ワインです。
こちらも原産地呼称統制法で定められております。
スペインのワインですが、「シェリー」という名は英語名です。
スペイン語では「ヘレス」と言い、フランス語では「ケレス」と言いますが、皮肉なことに「シェリー」という名が浸透してしまったようです。

強化ワインとは、ワインの発酵途中、もしくは発酵後にアルコール度数の高い蒸留酒を加えてアルコール度数を高めたワインのことです。

「シェリー」は使われる白ブドウの品種によって辛口から極甘口まで多種多様です。
また、他のワインと違いブドウの産地よりも「どこで」「どのように」熟成されたかが重要視されます。

そして、「シェリー」を飲むときには女性は注意が必要です。
ある特別な意味が付きます。

女性が男性と居るときに「シェリー」を頼むと、これは「今夜は帰りたくない」、つまり愛の告白になってしまいます!
これを受けて、男性が女性に奢ると「今夜は離さない」ということになる訳です。

逆に、男性から女性を誘う時は「ポートワイン」。
女性に勧めて飲んでくれれば、「貴方に全て捧げます」ということに。

もしも「ポートワイン」を勧めて、女性に「ブルームーン」を頼まれたら残念ながら振られてしまったということになります。
何故ならば、「ブルームーン」には「できないか相談」という意味があるからです。

ワイン

いかがでしたでしょうか。
お酒には色々な意味もあるんですね。
そう思ってみるとお芝居に出てくるお酒には隠された意味があるのかもしれません。

『ラインの監視』には他にも色々なお酒が登場します。
それらの紹介はまた機会があれば。
あと当然ながら、1940年のアメリカなので日本酒や焼酎は出てきませんよ(笑)

『ラインの監視』に登場するお酒たちの活躍にご期待ください。


研修生 末森・村松
| 稽古場日記::ラインの監視 | 22:19 | comments (x) | trackback (x) |

  
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