2020,11,18, Wednesday
バート・セルドン役の岩田翼です。
2011年の1月か2月ごろ、北海道の親戚を訪ねた帰りのフライト。夜の羽田行きの飛行機の窓からは、冬の澄んだ空気のおかげで、仙台市内の夜景がはっきりと見えました。オレンジや白に光る無数の小さな点と、真っ暗な海の対比。海岸線のラインもくっきりと。
前年の秋にも、やはり親戚を訪ねるために車で東北のあちこちを走り回っていたので、この時の飛行機から見える夜の海岸線が、どこの町のどんな風景の場所なのか、よく思い浮かべることができました。車で仙台から30分ほどの松島や、さらに北上して岩手との県境に近い気仙沼の港など、地図やナビを頼りに走っていました。
そしてその飛行機に乗ったわずか1ヶ月あまりあと、その灯りは、多くが震災による津波やその後の停電などで消えてしまうことになりました。東松島で泊まった、海岸からわずか数十メートルの民宿は跡形もなく、気仙沼の港近くにあった小さなホテルも取り壊されました。
舞台の公演も中止が相次ぎ、テレビからはドラマやCMが無くなり、僕自身、撮影はしたもののお蔵入りになってしまった作品もありました。演劇の灯も消えてしまうと思いました。こうして東北演鑑連で被災県を含む各地を巡演できる日が来るとは想像できませんでした。本当に奇跡のようです。
劇中、ニーマー教授が自ら行う実験で「どんな奇跡が起こるか・・・」と息巻くのに対し、ストラウス博士は「奇跡は神が起こすものだ。我々は神じゃない、科学者だ」とたしなめます。
今回の巡演は震災や原発事故後の復興に向けた大変な道のりの中にあっても、そしてコロナ禍での春先の巡演中断・延期をはじめとした様々な苦境の中にあっても、演劇鑑賞会事務局の皆さんや運営サークルの皆さん、そして会員の皆さんが想像を超えるほどのたくさんのご苦労と努力をし続けてくださったからこそ起こった奇跡だと思います。深い感謝と、皆さんと一緒に作るんだという気持ちで公演にのぞんでいます。
神といえば、仙台でも福島でも公演の日の朝に神社へ行きました。公演の合間や公演前に自然や歴史の一部に触れると心が落ち着きます。今ここは、宇宙の一部、地球の一部、歴史の一部。
仙台では国宝大崎八幡宮へ。福島では福島縣護國神社へ。大崎八幡宮は祈願の準備で奉納台があり、福島縣護國神社は七五三で賑わっていました。
・国宝大崎八幡宮
・福島縣護國神社
(
・仙台の会場、電力ホールのロビーでは開場前に事務局や運営サークルの皆さんが、会場の消毒や密を避ける誘導などについて綿密な打ち合わせをされていました。
・福島の会場、とうほう・みんなの文化センターの客席。観劇中の会員さん同士の距離を取るため、一席おきに座らないよう注意を促す貼り紙を貼って下さっています。チャーリーとアルジャーノンと花束。そして「みらいの会員席」。
今回の東北演鑑連の中で最も多い3ステージずつを上演する仙台と福島の演劇鑑賞会の例会。こうしたご尽力のおかげで無事に行うことができました。本当にありがとうございました!
さて、「アルジャーノンに花束を」東北ツアーは次の公演地での公演まで10日ほど空くので一時帰京しています。それぞれ感染に細心の注意を払いながら十分休養を取り再び出発する日を待ちます。残すは福島県内のいわきと会津の二ヶ所。そして12月の東京公演へと続きます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
岩田翼
| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 15:28 | comments (x) | trackback (x) |
2020,11,11, Wednesday
いつも劇団昴公演ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
本日のブログは、前回の佐藤しのぶさん演じるドナーさんのパン屋で働いている『フランク・ライリィ』役の江﨑泰介がお送りします。
鶴岡、郡山が無事に終わり、次に向かったのは八戸。
ここで、この度の山場の一つを迎えました。
今回使用させていただいた劇場は『八戸公会堂文化ホール』といい、なんと珍しいことに、大道具の搬入を舞台の『せり』を使って行います。
『せり』というのは、元々歌舞伎で使われた言葉で、舞台上の一部をくり抜いて上げ下げ出来るようにして、建物や人物を登場させたり、引っ込めたりすることができる昇降装置のことです。
今回の劇場では、大道具類を搬入口から舞台の下まで運び、その『せり』を使って舞台上へ運び入れました。
舞台上から見ると、こうなります。
これまでの役者生活で色々な劇場で公演をしてきましたが、この『せり』を使った搬入というのは、この八戸で初めて経験しました!非常に珍しい劇場です。
こちらの劇場は、客席も素敵です。
舞台上から撮ったものですが、前列5列あたりまでは自由に配置できる仕様になっています。今回は通常通りの使い方ですが、もしかしたら、カフェテラスのような配置にすることも出来るのかしら…?
もしそれが可能なら、客席の一部を俳優が演技で使ったりできそう…と、妄想が膨らみます。
客席を使った演技の幅がとても広がる可能性を感じました!
ステキな劇場をご用意いただいた八戸演劇観賞会の皆様、ありがとうございます!
さて、八戸の翌日は青森市への移動日。
この日、劇団昴の縄文博士、三輪学先生による三内丸山遺跡見学ツアーが開かれました!
ツアー参加者は、ストラウス博士役の宮本さん、アリス・キニアン役のあんどうさん、そして私、江﨑の三人です。
参加者全員、縄文遺跡にはあまり興味がないんですが、縄文時代について楽屋で熱く語る三輪さんの勢いに押され…。
入り口に到着したツアー一行。
発掘された土器が、見学できるように保存されています。
三内丸山遺跡の大きな特徴、大型掘立柱建物(おおがたほったてばしらたてもの)です。
柱の一つ一つがとても太く大きいです!
あんどうさんに横に並んでもらいました
実際に、その柱が建っていた場所も見学できます。
施設内にある博物館では、発掘された土器や石器、土偶が数多く展示されていました。
到着当初はそれほどでもなかった宮本さん、あんどうさんが、どんどんと縄文の魅力という沼にハマっていく様子は、三輪さんの登録しているYouTubeチャンネルでご覧いただくことができますので、動画が投稿されるのを皆さんお楽しみに!
と、縄文文化を見学して英気を養った翌日は青森公演です。
こちらでは、カーテンコールの花束の代わりに、たくさんのリンゴが入った籠をいただきました!
コロナ過の影響で会員さんからの手渡しが出来ないため、劇団員にその大役を任せることに。
担当したのは、近畿公演から裏方としてついてきてくれている準劇団員の新藤さん。
コロナによって、会員さんからの花束渡しが出来ない状況が続いていたので、とても嬉しかったです。
青森演劇観賞会の皆さん、ありがとうございます!
と、ここで時間となりましたので、次のブログ担当にバトンタッチしたいと思います。
最後に。
次の公演場所は仙台なのですが、朝、青森から移動すると非常に朝早くになるため、スタッフのみ、終演後に盛岡まで移動することになりました。
この日の夜から寒波が襲い、盛岡までの道中は雪模様。
今年の初雪、見ることが出来ました!
我々のツアーも、まだまだ続きます。
今後訪れる先でも、会員の皆様に喜んでいただけるよう頑張ります!
| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 18:59 | comments (x) | trackback (x) |
2020,11,06, Friday
今回のブログ担当は、パン屋の主人・ドナー役の佐藤しのぶです。
九州ラストの宮本充さんのブログが余りにドラマチックで、一瞬、全旅公演のラストかと錯覚を覚えるところでしたが、なんのまだまだ!
念願の、東北演鑑の旅が再開しました〜!!!
4月、盛岡・秋田と始まったばかりの旅公演が突然中止になった、あの時のやり場の無い気持ちは誰も忘れないでしょう。
だからこそ、今回は無事全うして笑顔で帰京できるように一丸となって頑張りたいと思います。
東北演鑑連の皆様、宜しくお願い致します!
旅初日は、
山形県鶴岡市・荘銀タクト鶴岡です。
まるで、波間を漂う客席のようです、なんかワクワクしませんか?
いろいろな劇場があるものですねぇ。
楽屋には、鶴岡市民劇場さんからのウェルカムボードが。
ありがとうの一行にそれぞれ「愛・喜・夢」の文字が忍ばせてあるそうです、なんてお洒落!
丹精込めて作られたお米を炊いたお赤飯、手作りの籠入りのラスク、どれも美味しく頂きました。
会員さんとの交流は難しい時ですが、ちょっと皆さんと触れ合えた気がしました、ありがとうございました。
そして次の地
福島県郡山市へはバス移動です。
江崎泰介君が車窓から撮った虹。
山口研志君が、途中の休憩所で撮った白糸瀑布。
こういう風景を見ると元気になります、自然は偉大ですね。
けんしん郡山文化センターで『ご案内係がいましたよ!』と大矢朋子さんが撮ってくれました。
がくとくん、ありがとう!
この劇場は、鮮やかな赤い色のシートです。
ちょっと燃える色じゃありません?・・・牛じゃないけど。
運営サークルの方からバームクーヘンの差し入れ頂きました。
ま、巻きが多い!
こんなに巻きの多いバームクーヘン見た事ない、手作りでしょうか?
お気遣いありがとうございました、みんなで美味しく頂きました、ご馳走様でした。
今、芝居は必要なのか?
疑問に思う方もいるでしょう。
でも私達は、無くてはならないもだと思っています。
それを今こそ、地道に芝居で証明していく機会なのかもしれません。
私達の旅は、まだまだ続きます。
明日も芝居が出来ることに感謝しつつ・・・。
九州ラストの宮本充さんのブログが余りにドラマチックで、一瞬、全旅公演のラストかと錯覚を覚えるところでしたが、なんのまだまだ!
念願の、東北演鑑の旅が再開しました〜!!!
4月、盛岡・秋田と始まったばかりの旅公演が突然中止になった、あの時のやり場の無い気持ちは誰も忘れないでしょう。
だからこそ、今回は無事全うして笑顔で帰京できるように一丸となって頑張りたいと思います。
東北演鑑連の皆様、宜しくお願い致します!
旅初日は、
山形県鶴岡市・荘銀タクト鶴岡です。
まるで、波間を漂う客席のようです、なんかワクワクしませんか?
いろいろな劇場があるものですねぇ。
楽屋には、鶴岡市民劇場さんからのウェルカムボードが。
ありがとうの一行にそれぞれ「愛・喜・夢」の文字が忍ばせてあるそうです、なんてお洒落!
丹精込めて作られたお米を炊いたお赤飯、手作りの籠入りのラスク、どれも美味しく頂きました。
会員さんとの交流は難しい時ですが、ちょっと皆さんと触れ合えた気がしました、ありがとうございました。
そして次の地
福島県郡山市へはバス移動です。
江崎泰介君が車窓から撮った虹。
山口研志君が、途中の休憩所で撮った白糸瀑布。
こういう風景を見ると元気になります、自然は偉大ですね。
けんしん郡山文化センターで『ご案内係がいましたよ!』と大矢朋子さんが撮ってくれました。
がくとくん、ありがとう!
この劇場は、鮮やかな赤い色のシートです。
ちょっと燃える色じゃありません?・・・牛じゃないけど。
運営サークルの方からバームクーヘンの差し入れ頂きました。
ま、巻きが多い!
こんなに巻きの多いバームクーヘン見た事ない、手作りでしょうか?
お気遣いありがとうございました、みんなで美味しく頂きました、ご馳走様でした。
今、芝居は必要なのか?
疑問に思う方もいるでしょう。
でも私達は、無くてはならないもだと思っています。
それを今こそ、地道に芝居で証明していく機会なのかもしれません。
私達の旅は、まだまだ続きます。
明日も芝居が出来ることに感謝しつつ・・・。
| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 20:27 | comments (x) | trackback (x) |
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